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VTuber配信で、つい大きな声で笑ったり叫んだりしたとき、音が割れてしまった経験はありませんか。そんなときに役立つのが、OBS Studioの音声フィルター「コンプレッサー(Compressor)」です。
この記事では、OBS公式のナレッジベースにある「Compressor Filter」と「Filters Guide」のページをもとに、コンプレッサーの6つの設定項目と初期値、BGMを自動で下げるサイドチェーン(ダッキング)の設定をまとめました。後半の計算例と使い方の考え方は、公式の説明をもとにこの記事で整理したものです。
※OBS公式のページは英語です。この記事では項目名を英語のまま書いています。日本語表示のOBSでは、項目名が訳されて表示されるので、画面と見比べながら読んでください。
コンプレッサーとは
大きな音を小さくするフィルター
OBS公式の説明では、コンプレッサーは、普段は通常の音量に設定してあるマイクが、急に叫んだときや白熱したときに、ずっと大きな音になってしまう場合にとても便利だとされています。音量を自動で下げて、0dBを超えにくくし、超えたときに起きるクリッピングや歪みを防ぎます。音量が戻れば、元に戻してくれます。
公式ページでは、短くまとめると「コンプレッサーは大きな音を小さくするもの」で、ふつうはフィルターの並びの最初か、その近くに置く、と書かれています。
ほかの音声フィルターとの違い
OBSの「Filters Guide」では、音声フィルターが次のように紹介されています。
| フィルター | 公式の説明(要約) |
|---|---|
| Compressor | 音量が一定のしきい値を超えないようにする。ダッキングにも使える |
| Expander | 背景の音を減らす。ノイズゲートに似ているが比率を調整できる |
| Gain | 小さい音源の音量を上げる |
| Invert Polarity | 位相の打ち消し合いの問題を直す |
| Limiter | 音の歪みを防ぐ |
| Noise Gate | 話していないときの背景ノイズを切る |
| Noise Suppression | 背景ノイズやホワイトノイズを取り除く |
| VST 2.x Plugin | VST 2.xプラグインで音を加工する |
コンプレッサーは、Windows、macOS、Linuxのどれでも使える、とされています。
コンプレッサーの6つの設定項目
公式ページに載っている6つの設定項目と、その初期値を順に見ていきます。
1. Ratio(比率)
しきい値を超えた音を、どのくらい圧縮するかを決める項目です。公式の例では、2:1は弱い圧縮で、しきい値を6dB上回る音が、圧縮後は3dB上回る程度になる、とされています。6:1なら、かなり強い圧縮です。初期値は10.00:1です。
2. Threshold(しきい値)
音がこのレベルに届くと、設定した比率で圧縮が始まります。しきい値より小さい音は比率1:1、つまり音量は下がりません。初期値は-18.00dBです。
3. Attack(アタック)
しきい値を超えたときに、どのくらいの速さで圧縮をかけきるかを、ミリ秒で決めます。初期値は6msです。
4. Release(リリース)
しきい値を下回ったあと、どのくらいの速さで圧縮をやめるかを、ミリ秒で決めます。初期値は60msです。
5. Output Gain(出力ゲイン)
圧縮すると、音は全体として小さくなりがちです。出力ゲインで平均の音量を上げ直すと、ほかの音源の上でも声が埋もれにくくなる、と説明されています。初期値は0.00dBです。
6. Sidechain/Ducking Source(サイドチェーン/ダッキングソース)
デスクトップ音声のような出力側の音源にコンプレッサーを付けた場合、マイクなどの入力を使って、その音源の音量を下げられます。初期値は「なし(None)」です。
6つの項目と初期値のまとめ
| 項目 | 役割 | 初期値 |
|---|---|---|
| Ratio | 圧縮の強さ | 10.00:1 |
| Threshold | 圧縮を始めるレベル | -18.00dB |
| Attack | 圧縮がかかる速さ | 6ms |
| Release | 圧縮が戻る速さ | 60ms |
| Output Gain | 圧縮後に音量を上げ直す | 0.00dB |
| Sidechain/Ducking Source | ダッキングに使う音源 | なし |
比率の計算をしてみる
ここでは、公式の説明(しきい値を超えた分が、比率に応じて小さくなる)をもとに、簡単な計算をしてみます。実際の音の動きは、アタックやリリースの設定でも変わるので、あくまで考え方の目安です。
公式の例を確かめる
比率2:1で、しきい値を6dB上回る音は、6÷2=3で、圧縮後は3dB上回るだけになります。これが公式ページの例です。
初期値で考える
初期値のしきい値-18dB、比率10:1で、-6dBの大きな声が入ったとします。しきい値を超えた分は、-6-(-18)=12dBです。これが10分の1になるので、12÷10=1.2dB。圧縮後は、-18+1.2=-16.8dBほどになる計算です。
| 比率 | しきい値を12dB超えた音 | 圧縮後に超える分 |
|---|---|---|
| 2:1 | 12dB | 6dB |
| 4:1 | 12dB | 3dB |
| 10:1(初期値) | 12dB | 1.2dB |
比率を大きくするほど、しきい値を超えた音がしっかり抑えられることが分かります。
アタックとリリースの考え方
アタックは、しきい値を超えてから圧縮をかけきるまでの速さ、リリースは、しきい値を下回ってから圧縮をやめるまでの速さです。初期値はアタック6ms、リリース60msなので、リリースはアタックの10倍の長さに設定されています(60÷6で計算)。
ダッキングの推奨値では、アタック100ms、リリース600msで、こちらはリリースがアタックの6倍です(600÷100で計算)。声を抑えるための初期値に比べると、どちらもゆっくりめに設定されています。BGMが急に下がったり戻ったりすると耳につきやすいので、変化をなめらかにするための値だと考えると分かりやすいでしょう。
| 設定 | アタック | リリース |
|---|---|---|
| 声のコンプレッサー(初期値) | 6ms | 60ms |
| ダッキング(公式の推奨値) | 100ms | 600ms |
BGMを自動で下げるダッキング
サイドチェーン圧縮とは
公式ページでは、サイドチェーン圧縮は「ダッキング」とも呼ばれ、話している間だけデスクトップ音声を下げて、音楽やゲームの上で声が聞こえやすくなるようにする使い方だと説明されています。
公式の推奨値
公式ページには、出発点として次の設定がすすめられています。
| 項目 | 推奨値 |
|---|---|
| Ratio | 32:1 |
| Threshold | -36dB |
| Attack | 100ms(音が下がる速さ) |
| Release | 600ms(元の音量に戻る速さ) |
| Output Gain | 0dB(サイドチェーンでは出力ゲインを上げない) |
| Sidechain/Ducking Source | マイク |
ダッキングの強さはしきい値で調整し、音量が変わる速さはアタックとリリースで調整する、とされています。
付ける場所に注意
ダッキングのコンプレッサーは、マイクではなく、デスクトップ音声のような出力側の音源に付けます。そのうえで、サイドチェーンのソースにマイクを選びます。声を抑えるためのコンプレッサーと、BGMを下げるためのコンプレッサーは、付ける場所が違うと覚えておきましょう。
配信で使うときの考え方
ここからは、公式の説明をふまえた、この記事の提案です。
フィルターの順番
公式ページでは、コンプレッサーはふつうフィルターの並びの最初か、その近くに置くとされています。ノイズ対策のフィルターやリミッターも使っている場合は、それぞれの役割を確かめて、順番を見直してみましょう。
録画で聞き比べる
設定を変えたら、短い録画をして、普段の声、笑い声、大きな声を聞き比べるのがおすすめです。比率を上げすぎると、声の抑揚が小さく感じられることもあるので、自分の配信のスタイルに合う設定を探してみてください。聞き比べるときは、配信で使うヘッドホンで聞くと違いが分かりやすくなります。
場面ごとに考える
雑談配信では、笑い声や驚いた声が急に大きくなりがちです。ゲーム配信では、白熱した場面で声が大きくなることがあります。歌枠では、曲の盛り上がりで声量が大きく変わります。どの場面で音が割れやすいかを、過去の配信のアーカイブで確かめておくと、どのくらい強くかけるかの目安になります。
BGMを流しながら話す配信では、ダッキングも組み合わせると、話している間だけBGMが下がるので、声が聞き取りやすくなります。ただ、相づち程度の小さな声でもBGMが下がると落ち着かないこともあるので、しきい値で反応する強さを調整してみてください。
初期値から少しずつ
まずは初期値で試し、大きな声が割れるならしきい値を下げる、声が小さく感じるなら出力ゲインを少し上げる、というように、一度に一つの項目だけを変えると、何が効いたのかが分かりやすくなります。
OBSのコンプレッサーのよくある質問
コンプレッサーとリミッターは何が違う?
公式の「Filters Guide」では、コンプレッサーは音量がしきい値を超えないようにするもの、リミッターは音の歪みを防ぐもの、と紹介されています。
コンプレッサーとノイズゲートは何が違う?
公式の「Filters Guide」では、ノイズゲートは話していないときの背景ノイズを切るもの、とされています。大きな音を小さくするコンプレッサーとは、役割が違うと考えると分かりやすいでしょう。どちらか一つではなく、目的に合わせて組み合わせて使うこともできます。小さな雑音を減らしたいならノイズゲートやエキスパンダー、大きな声を抑えたいならコンプレッサーです。
初期値はいくつ?
比率10.00:1、しきい値-18.00dB、アタック6ms、リリース60ms、出力ゲイン0.00dB、サイドチェーンはなしです。
ダッキングで出力ゲインは上げる?
公式の推奨値では、サイドチェーン圧縮では出力ゲインを使わない(0dB)とされています。
OBSのコンプレッサーで声の音割れを防ごう
OBSのコンプレッサーは、しきい値を超えた大きな音を、比率に応じて小さくするフィルターです。6つの設定項目と初期値を知っておけば、声の音割れ対策にも、BGMを下げるダッキングにも使えます。録画で聞き比べながら、自分の配信に合う設定を探してみてください。